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世界最大の地下ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」にて生物粒子計数器の実証実験がスタート

2018年03月30日

生物粒子計数器「XL-10B」

リオンは、水中の生物粒子と非生物粒子を瞬時に見分け、細菌などの生物粒子をリアルタイムかつ連続的に計測できる「生物粒子計数器」を、世界最大の地下ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」に設置しました。「スーパーカミオカンデ」では、この「生物粒子計数器」を用いて、生物粒子が5万トンの超純水における光の透過率へ与える影響の調査を目的に実証実験を2018年1月よりスタートしました。

生物粒子計数器について

    当社は、半導体や医薬業界で用いられている液中微粒子計測器の開発で培った高度な検知技術などを礎に、水中の生物粒子とその他の微粒子を瞬時に判別できる「生物粒子計数器」を開発し販売しています。

    この「生物粒子計数器」は、対象となる試料水10mlを装置に通すだけで生物粒子の数や大きさを1分間で検知でき、連続検査も可能です。さらに、測定できる生物粒子の大きさは0.2μm以上、細菌類のほぼ全域を測定できます。現在、浄水場などの水質管理や人工透析治療の現場における透析液の清浄度管理、医薬用フィルター製造用水の管理などで採用されています。

実証実験について

    スーパーカミオカンデ検出器のタンクは、5万トンの超純水で満たされています。タンク内の水はニュートリノ検出性能を保つため、常に循環精製されており、1mlあたり、0.1μm以上のごみは100個以下に抑えられています。このたび、この超純水のなかで蛍光菌を中心としたバクテリアが光の透過率へどう影響を与えるのか、また、深層毎で菌層がどのように検出されるかを検知するために「生物粒子計数器」を使用した実証実験が進められています。

「生物粒子計数器」の検出メカニズム

    細菌をはじめすべての生物の細胞は、代謝活性物質としてビタミンB2の一種である「リボフラビン」を持っています。リボフラビンは、特定の波長の光に対して蛍光を発します。当社では、この「自家蛍光現象」に着目し、生物体を計れる波長域のレーザーダイオードを用いて、生物粒子の存在をすばやく確実に検出する方法を開発しました。

    「生物粒子計数器」は、紫外線(UV)レーザと散乱光検出器(受光素子)、蛍光検出器(受光素子)から構成されます。

  • UVレーザから発する特定の波長の光を、検出部の試料水流路に照射します。
  • 流路部に照射しているレーザ光路を粒子が横切ると、粒子から散乱光が生じます。この散乱光を散乱光検出器で検知することで、微粒子の有無や大きさが分かります。
  • ほぼ同時に蛍光検出器がリボフラビンの蛍光を検知します。これにより、その微粒子が生物粒子か否かを即座に判定します。

スーパーカミオカンデのタンク外部(超純水を循環している配管側)に設置された「生物粒子計数器」