RION Techinical Journal Vol.1
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【LR-06】(1992年)騒音、振動のレベル記録、各種音響機器などの特性測定や電圧のリニア記録まで幅広く使用できる自動平衡型の記録計。従来のレベルレコーダにデジタル技術を駆使し、数多くの機能を加えた。【NL-04】(1991年)リオンの騒音計の歴史を語る上で外せないモデル。同時に開発したメモリカードユニット「DA-05」を連結することで、騒音レベルの長時間デジタル記録を可能にした。【NL-06】(1997年)リニアリティレンジ100 dBの表示画面、メモリカードスロットを装備した積分形普通騒音計。等価騒音レベルの連続測定を備え、「環境基本法」制定後の新たなニーズに応えるモデルとして開発。【NL-18】(1995年)積分形精密騒音計。多機能・高機能モデル。等価騒音レベルのほか、音圧のピーク値やインパルス時定数を利用した測定など、2つの騒音計回路を内蔵。液晶画面も二つ搭載されている。 「NA-20」の開発では、高分子膜によるマイクロホンの開発から、ワイドレンジで高速・精密動作を両立させたメータ式の指示計、高精度実効値検出回路や音響性能の優れた筐体構造など、当時の精鋭たちによって騒音計の基本構成が全て次段階へと押し上げられた。  高度成長を続けてきた日本経済だが、1990年代初頭にバブル崩壊。産業分野の成長も一気に停滞する。音響・振動計測器事業の成長も鈍化する一方で、測定のニーズは監視、診断、対策に向かい、より高度なものへと変化していく。「LR-06」はそんな需要に応えたレベルレコーダだ。 「レベルレコーダは騒音の時間的な変化を記録紙で捉えることができ、現場で発生している音がどの程度環境に影響を与えているかが判ります。例えば道路交通騒音を測定する際、カラスが鳴いたり救急車が通ったりすると、その騒音レベルの大きさや頻度により目的の測定に影響を及ぼしてしまう。だから、カラスが鳴いたら記録紙にカラスと書き込み、その部分のデータは除外するのです。アナログ的な作業ですが、時々刻々と状況が変化する測定現場での記録は紙が便利で、この時代では紙にこだわる現場が意外に多かったのです。『LR-06』はそのようなアナログ記録に加えてメモリカードへの同時記録や、時刻の自動印字ができるデジタル技術を搭載していました。」 リオンの騒音計開発の歴史においてもう一つ重要なモデルが1991年に開発した普通騒音計「NL-04」だ。同時に開発したメモリカードユニット「DA-05」を連結することで、騒音レベルの長時間デジタル記録を可能とし、測定後のデータ処理に新たな道を開いたモデルだ。「レベルレコーダは箱型で大きいため、測定時に騒音計と共に持っていくことが負担になる場合がありました。『DA-05』のメモリカードの記録データを、同時期に開発した『LR-06』で後から再生し紙に記録できたことは、測定のフットワークを軽くする革新的な進歩でした」   「NL-04」と「LR-06」は先進的な測定システムとしての機能が高く評価され、1991年にグッドデザイン賞、1993年に日本音響学会の第一回技術開発賞を受賞した。「その時代、世の中に存在する技術の範囲内で一歩先を行く。新製品開発のたびにどんな新しいことが実現できるかを考えてきました」 1998年に「騒音に係る環境基準」が改定、1999年には騒音の表示及び測定方法を規定したJIS Z 8731、さらに2000年には「騒音規制法」の改正により、騒音の評価量として等価騒音レベル(LAeq)が中心になっていく。 「騒音評価量の切り替わりは計測が大きく変わる契機となりました。等価騒音レベルの評価では長時間の連続計測が求められ、測定の自動化への要求が高まりました。このような市場の変化こそ技術的飛躍の機会であり、当社独自のデータの圧縮・解凍技術で実現できた長時間録音、パーソナルコンピュータによるデータ処理の利便性の提供等、計測の大きな転換に繋がりました」  そこで実現したのが騒音計の新シリーズである。 「国際市場のトップランナーを目指して2001年にリリースした『NL-21』シリーズは、21世紀に向けて新世代の騒音計を作ろうという開発者の思いが込められたエポックメイキングな製品です。シリーズの上位機種から基本機種までの5機種をプラットホーム化しているのです。拡張機能のプログラムを書き込んだメモリカードによって、騒音計に周波数分析等の多様な機能を実現し、さらにデータの有効性を判断するための録音機能を組み込んだ製品です」  「NL-21」シリーズは新世代の騒音評価に貢献する製品として音響学会の第10回技術開発賞を受賞している。  8

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