RDD1125部品の型番の秘密リオンが生み出す製品のすべては開発者たちの努力の結晶だ。若林が開発に携わった「NL-04」専用の部品として設計した電源モジュールの型番は「RDD1125」。この数字は若林の息子の誕生日だという。誰も知らない、しかし、開発者たちにとってはどんな製品も我が子のように愛しい存在だ。【NL-42A】(2020年)ハンディタイプ騒音計の最新モデル。豊富なオプションプログラムやソフトウェアで、ユーザーの要望に沿った測定が可能。充電式の電池に対応し環境にも配慮。1 Hz〜の超低周波音も測定できる「NL-62A」もラインアップ。【NL-42】(2011年)さらなる「計測の信頼性向上」をコンセプトにフルモデルチェンジしたハンディタイプの騒音計。高い防水性能やデジタル処理技術を最大限駆使した高精度、高安定性を実現。カラー液晶によるタッチパネルや多言語表示の採用などで、使いやすさを向上させた。【NL-27】(2009年)小型、軽量のワイドレンジ騒音計。簡単な操作で等価騒音レベルや最大値、騒音暴露レベルなどが計測可能。【NL-21】(2001年)100 dBのリニアリティレンジで、レベルレンジ切り替え不要。等価騒音レベル、時間率騒音レベル、最大値などを同時測定でき、さまざまな拡張機能とともに幅広い騒音測定をサポートする。人々が快適に暮らせる未来のために 2000年代に入りさまざまな技術が急速に進歩する中で、リオンは測定のニーズに応える騒音計をさらに生み出し続ける。胸ポケットに収まる小型サイズで幅広い測定レンジをもつ「NL-27」、国内で初めて防水構造を採用した「NL-42」、2012年に開発した「NL-62」は超低周波音から騒音まで一台で同時に計測できるほど進化した。 若林は、新製品には開発者の徹底したこだわりや、関係者の無数の協力があるという。「コンデンサという基本的な部品があるのですが、入手できるコンデンサをかき集めてひとつひとつ測定し、選別や組み合わせによって我々が求める性能の部品を作ったこともあります。我が社の購買部門も実に優秀で、次期製品ではこんな液晶が必要だと相談すると、カスタムの液晶を製作できる業者を日本中から探してきてくれることもありました」 騒音計はユーザーにとって貴重な設備である。一度購入すると10年以上使われることも多く、高品質で堅牢さにこだわった製品の開発が求められる。点検、校正や修理をしながら20年以上使用するユーザーもいるほどだ。 騒音計第一号の開発から66年。人々の意識も高まり、騒音公害は驚くほど改善されてはきたが、今後も騒音問題が無くなることはないだろうと若林は語る。「現代は車のエンジン音も小さくなりましたし、低騒音舗装の道路によって走行時の音も軽減されてきました。しかし、騒音がなくなるわけではありません。例えば、建物への外部からの遮音性能が改善されて静かになれば、次はエアコンや冷蔵庫の音等が気になる。それらの音が改善されれば次はさらに小さな音も気になってしまうのが人間です。我々はより良い音の環境を実現する手段として騒音計の開発や計測に携わってきました。音という身近な課題に最適な対処をすべく我々は何ができるのか、それを探求し続けてまいります」 人々が快適に暮らすためには、過ごしやすい環境を作ること、その基本が測定だ。将来的には騒音データをIoTで収集し、世の中のあらゆる騒音をモニタリングして騒音を地図化することも出来るようになる。リオンが果たすべきは正確な測定が普及して快適な音環境を実現すること。「時代の先を行くものを生み出せ」。先人のたゆまぬ努力と探究心、そして熱い志は現在のリオンの開発者たちへ確かに受け継がれている。音響計測のトップランナーとして、リオンはこれからも走り続ける。9
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