反射波長・粒子の屈折率・媒質の屈折率が一定散乱光の強度は粒径に依存粒子屈折光吸収回析「生物粒子計数器」XL-10B(2011年)微粒子計測器の開発・製造技術を応用して開発した「生物粒子計数器」。特有の波長の紫色レーザを生物粒子に照射し、細胞内の自家蛍光物質が発する蛍光を検出することで、染色や培養などの前処理なしで生物粒子の数と大きさをリアルタイムに測定できる。時代のニーズに合わせた微粒子計測器を開発し続ける 国内外から信頼を獲得し、精度の高い微粒子計測器の開発に従事してきたリオンが2011年に世界で初めて世に送り出したのが「生物粒子計数器(ピコプランクトンカウンタTM)」だ。水中の微粒子について、生物と非生物粒子を見分け、細菌やプランクトンなどの生物粒子をリアルタイムに測定できる。測定のメカニズムは、生物粒子中に存在する生体関連物質の中で自家蛍光を発する物質に着目し、紫色レーザを微粒子に照射して、蛍光検出器により生物粒子から発せられる自家蛍光を計測するというもの。その微粒子が生物粒子、非生物粒子かを瞬時に見分けることができる。「食品や飲料水、医療用水を扱う現場において、細菌などの混入確認は最重要工程です。衛生管理や清浄度管理を徹底しなければならないのですが、これまでは主に培養法で測定していました。培養法は細菌の存在確認に3〜5日程度の日数がかかるので、その間は工場を止めないといけないんです。生物粒子計数器は管理すべき水を通過させるだけで、細菌やカビ、酵母などの存在を瞬時に確認できる。リアルタイムでの監視が可能になることで、手間やコストの大幅な削減につながるので、今後はさらに需要が増えることを見込んでいます」 2020年以降、コロナ禍では、気中のウイルスや細菌などの生物体を検出したいという要望も増えたという。「ウイルスや細菌は単独で浮遊することはなく、何かしらの粒子にくっついています。また、今問題視されているマイクロプラスティックの計測の需要も増えましたし、さまざまなニーズに合わせた計測器の開発を進めているところです」 現在も微粒子計測器事業では、最小可測粒径の微小化の壁を超えるため、そして、時代のニーズに対応するために、新たなアプローチによるセンサや検出技術の開発に邁進している。微粒子計測器事業の戦いに終わりはないのだ。微粒子とは微粒子(微小粒子)とは、気体中、または液体中に浮遊し、ほとんど沈降しない粒径が1 µm程度以下の粒子のこと。分野により粒子を測定する方法は変わる。ビルなどの空調システムの管理や、PM2.5等の測定には一定空気量に対して粒子の重さで管理する。半導体産業のクリーンルームや手術室、薬を作るような環境の場合は粒子の大きさと個数で管理を行う。一般的にクリーンルームの浮遊粒子は光散乱式で計数するため、散乱光量で求めた粒子の大きさ(光散乱相当径)で表す。光と粒子の相互作用粒子の大きさが光の波長より小さくなると、反射や屈折に比べて粒子による光エネルギーの散乱が支配的になる。この散乱光の強さは粒子の大きさや粒子と媒質の屈折率、光の波長などと一定の関係があり、散乱光量を測定することで粒子の大きさを知ることができる。大気中の粒子0.00010.0010.010.11.0101001,00010,000タバコの煙代表的粒子セメント顔料髪ばい煙胞子重工業ダストけい砂花粉ウイルス微生物細菌藻類真菌ZnO, MgO化学物質気体分子超微粒子微粒子粒径[µm]粗大粒子11
元のページ ../index.html#13