RION Techinical Journal Vol.1
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センター内の「化学反応」が画期的な技術を結実する— リオンが躍進する原動力となる技術開発センターの役割について、まずお聞かせください医療機器事業、環境機器事業、微粒子計測事業と分かれている事業部と連携し、課題解決や基礎研究を推進します。業務の約8割は、現在リリースされている製品のリニューアル、アップデートに関わるものです。変化していく社会のニーズにどう対応させていくか、どのような機能、設定を追加、修正すべきなのかという課題を浮き彫りにし、解決していきます。一方、約2割程度は将来を見据えて、どのような製品、サービスが求められるようになるかを予測し、社会を支える製品、技術をゼロから研究していくという業務となります。— センター長として、スタッフに求める行動はどのようなものでしょうか?スタッフは多様なアイデアを持っているのですが、それをあたためておくだけでなく、活発に発信してもらいたいですね。社内でも社外でも、アイデアを発信することで予期せぬ化学反応が起きることもあるでしょう。今、個々にあたためているアイデアに他者からの良いアイデアをミックスさせればさらに優れた企画へと進化していくかもしれません。また率先して社外へ飛び出していってほしいと感じています。技術者は目の前の課題に集中しがちで、興味の幅を広げるためには意識して社外での活動を増やしていく必要があるでしょう。これは技術開発センターを設立した理由のひとつでもありますが、様々な部署と連携した技術者が集まるセンターでは、自分以外の技術者がどんな課題に取り組んでいるかを知ることもできます。自らの守備範囲外のフィールドでいかに好奇心を発揮できるか、その気づきをどう仕事に活かせるかが大切なことですよね。— アイデアを発信することで生まれる「化学反応」には、具体的にどのようなものがありましたか?こんなことがありました。弊社の微粒子計測は、例えるなら夜空の星を数えるようなもの。昼間は太陽の光が邪魔になって星は見えませんよね? しかし昼間でも星を数えなくてはいけないニーズもあります。どんな解決方法があるか、皆の前で投げかけたスタッフがいました。その時、補聴器開発のスタッフからまったく予期せぬ数学的な解決方法が提案されたんです。補聴器は音を増幅して聞こえを補うための機器です。言い換えれば、様々な音でざわつく状況のなかで、いかに会話相手の声を拾い出すかということでもあります。この補聴器の技術から、星を検出するためのアイデアが生まれました。ジャンルの垣根を超えて、技術開発センター内部で技術の壁をブレイクスルーするこうした事例はしばしばあるのです。技術開発、最前線!技術開発センター長 岩橋清勝が語るリオンの「革新」はこうして生まれるリオンの各事業と連携し、最新技術とソリューションを生み出し続ける「技術開発センター」ではどのような活動が行われ、どのような視点で未来を見つめているのか。センター長の岩橋清勝に話を聞いていく。IN THE BACKYARD取材・文/編集部撮影/岸本 絢12

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