RION Techinical Journal Vol.2
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 2001年に発売した「KL-04」は、マイクロソフト社のOS「Windows」を採用していた「KL-03(システム)」からオープンソースのOS「Linux」に変更される。「Windowsだとバージョンが頻繁に変わることもあり、予期せぬ不具合が起こる可能性がありました。特に医薬品向けの製品に関しては安心感のある操作性や信頼性が求められるので、OSをLinuxに変更したのです。液中微粒子計測器の歴史の中では大きな変革と言えますね」 もう一つの大きな変革点は、センサ、サンプラ、パソコンを一体化して、オールインワンとした点である。更に改良点として「KL-03(システム)」の定格流量が1分間10 mLであったのに対して「KL-04」では25 mLとなった。2010年には記録媒体をフロッピーディスクやテープドライブからUSBメモリに変更するなどのマイナーチェンジを実現して「KL-04A」となった。また、日本や欧米の薬局方に加え、韓国や中国などの薬局方に準じた管理を可能にした。そして、2018年に最新モデル「KL-05」を発売。基本の設計思想は「KL-04A」と同様だが、10.4型の液晶ディスプレイを採用し、画面を大きくすることで計測時の視認性を高めたこと、内蔵記憶装置としてSSDを採用し、動作速度を向上させたことなどが挙げられる。「『KL-05』は小容量測定として10 mLの容量シリンジやアンプルなどの小容器の試料台を取り入れた点もポイントですね。私自身は『KL-03(システム)』の開発時から関わっていますが、開発で苦労した点といえばやはりセンサ部分です。異なる大きさの粒子の分別性能を示すのが粒径分解能ですが、薬局方で求められる性能を安定して実現させるのはそれなりに大変でした。あとは波高分析回路の設計です。『KL-03(システム)』のセンサ『KS-70』ではセンサと多チャンネル波高分析部回路を一体化することで、電気的な誤差要因をできる限り排除する設計としました」 一般的な製品とは異なり、医薬品業界向けの液中微粒子計測器の需要は日々大きく変動することはない。だからこそ製品に求められるのは安定した信頼感のある精度の高さだ。「お客様からは、自動的にサンプルが入れ替わるオートサンプラ機能を搭載してほしいという声もありましたが、実現しようとすると大掛かりなものになり、価格も高額になります。今後、薬局方が大きく改正されるなどのタイミングがあればモデルチェンジをする可能性もありますが、我々としては今お使いいただいている製品のバリデーションをはじめ、安心して長く正確な計測ができるようにサポートに力を入れていきたいと思っています」OSを変えることで進化する時代に「不変性」をもたらした新モデル9【KL-04】(2001年)、【KL-04A】(2010年)2001年に発売した「KL-04」は、OSを「Windows」からオープンソースの「Linux」に変更。また、「KL-03」の定格流量が1分間10 mLであったのに対し、「KL-04」は最大25 mLの計測を可能にした。また、日本薬局方をはじめ、米国、欧州、韓国、中国の薬局方に応じた管理が可能に。後継器種となる「KL-04A」では、測定結果を外部出力可能。測定データのコピーおよびデータバックアップにUSBメモリを採用。(写真はKL-04A)【KL-05】(2018年)2018年に販売した「KL-05」は、10.4型の液晶ディスプレイを採用し、画面を大きくすることで計測時の視認性を高めた。また、メーカーからの要望を受け、小容量測定として10 mLの容量シリンジやアンプルなどの小容器の試料台を取り入れた。内蔵記憶装置としてSSDを採用し、動作速度を向上。可測粒径範囲1.3 μm~100 μm、粒径区分を最大20段階まで設定可能な2021年時点の最新モデル。バリデーションとは?製品に期待される品質を得るため、検査・分析の方法や、作業プロセスなどが適切であるか科学的に検証し、記録として文書化、保存すること。リオンでは購入後の微粒子計測器や多点モニタリングシステムについてのバリデーション業務をサポートしている。

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