2013年から上海に赴任して、こちらでの生活もかなり長くなってきました。現在、上海の事務所にはスタッフが15名、リオンとしては最も規模が大きい海外拠点となります。扱っている製品は聴力検査装置、振動計、騒音計などで、仕事の中身としては営業活動が中心です。日本国内と比較して中国ではまだまだ知名度が高くなく、この国での活動は積極的にリオンブランドを紹介していくタームにあると言えるでしょう。 中国に住んでいて感じるのは、人々のエネルギーとスピード感でしょうか。上海のような大都市は十分に発展し、東京や大阪などと比べても遜色ない都会の雰囲気を持っているのですが、それでも経済的、精神的にまだまだ上を目指すんだという人や街のエネルギーを感じます。また、コロナ禍で気付かされたのは国全体に満ちている一体感ですね。中国政府がコロナを抑えるための行動を明確に示し、実現したことで現在はコロナが比較的抑えられている印象を受けます。中国南部でコロナがまだ流行し始めているようですが国がきちんと守ってくれるという意識を多くの国民が持っているため、慌てた雰囲気はあまり感じられません。国としての一体感もあるし、何事にも悲観的にならない国民性も強く感じています。 国民性といえば中国では率直というか、ダイレクトな意見を口にする方がとても多いのが特徴的です。ダメなものはダメ、いいものはいいとはっきりしていて、仕事で中国人と関わると彼らのスピード感にはとても刺激を受けます。そのような背景もあって、「今すぐ結果が分かる」のが特徴である「SA-A1(多機能計測システム)」という製品が主力製品としてよく売れています。これはタブレット型の計測器に画面も付いたもので、タッチパネル式、ケーブルなしで騒音や振動を測定し、その場で分析結果が分かるという製品。日本では音や振動を現場で測定、収録してオフィスなどに持ち帰り、PCで解析するというシステムが主力ですが、分析結果がすぐ欲しいという中国ではこの製品があまり売れません。国民性というのは面白いものだとつくづく思いますね。 私自身もこうした国民性に影響を受け、仕事のプロセスにおいてスピード感を意識するようにもなりました。すぐ決めるとか、すぐ動くというのは仕事においてとても大事なことで良い刺激を受けているという実感もあります。でも、リオンの製品が持っている強味は信頼性や耐久性。スピードを重視するばかりになって、製品やサービスの信頼を損ねることなどないよう、ほどよいバランス感覚は大切だと感じています。 上海はとても便利な都市なので不自由なく暮らしていますが、私は辛い食べ物が苦手で実は中国料理をあまり食べません(笑)。唯一、好きなのは麻辣烫といって肉や野菜など材料や味付けを好みで自由に選べる火鍋のような料理です。北京や広州、武漢にも上海理音のオフィスがあって、こうしたオフィスのスタッフと会う時はほとんど麻辣烫。あとはビールがあればこの上ない幸せです。上海理音の受付北京オフィス近くの古都街並み広州オフィス付近の近代的なビル群北京市上海市広州市武漢市中国編16スピード重視!の中国マーケット中国国内で開催されたイベント出展時の記念撮影広州の市街で騒音測定の実習中佐藤 義哉上海理音科技有限公司勤務。リオンの上海拠点における営業活動を統括。精密機械、半導体、鉄道、大学、病院、環境局など、中国国内の幅広い業界にネットワークを有し、中国人スタッフのまとめ役として中国全土を日々、奔走する。海外で働くリオンのスタッフが仕事や暮らしについてレポート。異国でリオンがどのように貢献しているのか、かの地での暮らしぶりはどのようなものなのかなどを、毎号、リレー方式で紹介していく。FROM OVERSEAS
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