RION Techinical Journal Vol.2
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騒音計の性能を支える「校正システム」の存在 「モノだけでなく、コトを提供する」。これは、リオンの環境機器事業部が掲げる長期的なビジョン。技術によって社会を支える、人を助けるという事業の根幹を変えることなく、サービスとして良質な「コト」を提供していくことに、近年のリオンは注力している。そのような思いが具現化したひとつの好例が、「リオン音響校正システム/RACS」(以下、RACS)の開発だ。 RACSを端的に説明するなら、騒音計や騒音暴露計、マイクロホン、音響校正器を自動で校正・試験するシステム、ということになる。加えて、本システムは国際規格であるISO/IEC 17025(JIS Q 17025)(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)認証取得のために必要な機能を備えている。このRACSについて、さらに分かりやすく説明するのは、本システムを海外へ販売している環境機器事業部の細井嶺一だ。「たとえばお肉屋さんの秤、タクシーの料金メーターといった計量器は、正しく計量ができて、定期的に管理されています。弊社が製造、販売している騒音計も計量器に含まれており、精度の維持と管理をしなければなりません。そこで騒音計を使用して環境を計量される方は『校正システム』を通じて騒音計を管理していただく必要があるのです」 これまでも騒音計を製造するリオンやその他企業にも校正システムは存在した。一方で、国際規格の認証を受けた校正の要望が高まっていたが、既存のシステムではその対応は容易ではなかった。こうした国際規格に適合する校正は、たとえば日本品質保証機構(JQA)といった音響分野における高度な校正技術を有する機関や研究所など、ごく限られた機関でのみ利用できるに過ぎなかったのである。そこで、一定の校正技術を有する機関であれば音響的な校正もできるように開発されたのがRACSというわけだ。コンピュータ、ソフトウェア、シグナルジェネレータ、デジタルマルチメータ、計測用アンプ、音響カプラ、基準マイクロホン、測定値監視用カメラなどを組み合わせた構成で、これがあれば騒音計や騒音暴露計、音響校正器を国際規格に従って校正・試験することが可能となる。しかも、一連の校正・試験を自動で行うことができるのだ。細井はRACSのアドバンテージについてこう続ける。「たとえば、このような校正機能を自社でRACS/RION Acoustic Calibration System/リオン音響校正システム比較カプラ(IEC 61094-5:2016)、無響室(IEC 61094-8:2012)を使用した騒音計の音響校正と定期試験(JIS C 1509-3:2019/IEC 61672-3:2013) 、ダミーマイクロホンを使用した騒音計の電気校正と定期試験(JIS C 1509-3:2019/IEC 61672-3:2013) 、音響校正器の校正と定期試験(JIS C 1515:2020/IEC 60942:2017)などを行うシステム。 PROJECT STORY2使用して環境を計量される方は『校正システム』を通じて騒音計を管理していただ これまでも騒音計を製造するリオンやその他企業にも校正システムは存在した。一方で、国際規格の認証を受けた校正RACS/RION Acoustic Calibration System/比較カプラ(IEC 61094-5:2016)、無響室(IEC 61094-8:2012)を使用した騒音計の音響校正と定期試験(JIS C 1509-3:2019/IEC 61672-3:2013) 、ホンを使用した騒音計の電気校正と定期試験(JIS C 1509-3:2019/IEC 61672-3:2013) 、音響校正器の校正と定期試験(JIS C 1515:2020/IEC 60942:2017)などを行うシステム。 2世界の人々を騒音から守るために〜音響校正システムと試験環境構築、運用までのトータルソリューションの提供〜リオンのプロダクト開発ドキュメンタリー取材・文/編集部細井 嶺一環境機器事業部 音響振動計測器営業部 計測器海外販売課所属。騒音計、振動計等を海外市場において拡販すべく、各国販売店でのリオン製品啓蒙、販促活動を行う。担当するエリアは東南アジア、オーストラリア、アフリカ、中東など全世界に及ぶ。

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