し、コストを下げると共に、省スペース化したいというニーズがありました。さらに環境計測という観点で、清浄度と温湿度、他のデータを一元管理したいという要望も出てきたのです」と語るのは、リオン 微粒子計測器事業部 新規事業推進室の庄子英樹だ。 顧客から見れば「なぜパーティクルカウンタだけ別ソフトなのか?」という疑問もあった。パーティクルカウンタには光源やポンプが内蔵され、その制御を行うことが大前提だ。メーカーには当然のことでも、そうした事情はユーザーには分からない。両者の認識にギャップがあった。「気中・液中パーティクルカウンタだけでなく、環境も含めてデータを統合計測できるように改良することにしました。それが結果的に大きな差別化ポイントになり、そこから市場シェアを大きく伸ばしたのです。初期のRPモニタと比べると、売上金額は10倍にも跳ね上がりました」(櫛山) この環境モニタリングシステムは1996年に発売され、2000年ごろにかけて実績を着実に積み上げた。特に再生医療分野での潜在ニーズを掘り起こしたこと要因、たとえばWindowsの安定性、コンピュータ性能の不足といった問題には手を焼いたという。そしてようやく、多点モニタリング用ソフトのテストが始まった。「パーティクルカウンタのポンプを回し、光源部をアイドリングして、ようやく計測準備が整い、いよいよ本番で20台の装置が一斉に稼働しました。ポンプがうなる中で、データが順調に集められる様子を見たときは、壮観で感動しました」(吉田)多点モニタリングから環境モニタリングへの跳躍 RPモニタは、OSのバージョンアップと共に進化し、多点モニタリングの用途も広がっていった。その後、飛躍的にRPモニタのシェアを伸ばす、さらなる転機が訪れた。従来の多点モニタリングが、環境計測にも活用されるようになったからだ。「顧客各社の測定室では、微粒子計測のPCと、部屋の温度・湿度、冷温室の温度などの環境を計測するPCは別々に運用されていました。それらPCを1台に統合で、九州リオンのシステム仕様が業界のデファクトスタンダードにもなった。現在は国内シェアも約9割まで成長している。 RPモニタの今後について、吉田はこう話す。「最新のRPモニタはEvo10で、現在は、私の後輩が開発し、しっかりサポートしていますので、安心して現場の対応にまかせています。Evoはevolutionの意味ですが、ソフトウェアは常にお客様の要望に対応することで使い続けていただけるもの。多くのメーカーの計測器やセンサなどを接続することで、より多くのお客様に喜ばれるようなシステムであり続けるでしょう。今後はクラウド対応や、通信の進化を活用した機器管理機能を提供していければ良いと思っています」 また櫛山は「市場ニーズとしてOSに依存しないソリューションを展開したいですね。たとえばクラウドにデータをアップし、誰でもデータを見られるよう舵を切っていく可能性はあります」と付け加えた。RPモニタEvo の名称のとおり、持続的な進化を遂げながら、新たな市場をにらんで次の一手を打っていく構えだ。多点清浄度測定多点清浄度測定のイメージ図。各ルームにパーティクルカウンタを設置し、PC上のRPモニタで一元的に制御とデータ収集を行う。RPモニタ Evo10 K1701を用いた製品検査「RPモニタ Evo10 K1701」は、製造過程における微粒子計測器の検査やメンテナンス時の校正にも使用される。複数台の計測器と、計測の基準となる1台の基準器をつなぎ、リアルタイムに計測結果をモニタリングできるため、製造過程における品質の均質化にも一役買っている。監視室ソフトウェア・RPモニタ Evoクリーンルーム微粒子計測器RIONPARTICLE SENSOR KA-03RIONPARTICLE SENSOR KA-03RIONPARTICLE SENSOR KA-03RIONPARTICLE SENSOR KA-03RIONPARTICLE SENSOR KA-03RIONPARTICLE SENSOR KA-035庄子 英樹リオン 微粒子計測器事業部 新規事業推進室 担当部長。1987年入社以来、微粒子計測器 営業部門に所属し、企画課や九州リオン出向を経て現在に至る。その間、微粒子計測器関連、および再生医療関連システムや生物粒子計数器の販売を中心に活動。
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