2002年までに7台のロボットを自社開発 自動製造ロボットは、リオンが自社開発したものだ。そのロボット開発のプロジェクトは1997年にスタートした。生産冶具を担当する生産技術部と、マイクロホン開発を担当する研究開発部とが共同で、24時間自動生産を可能とする自動製造ロボットの開発が進められた。生産を自動化することで、生産原価を飛躍的に低減することが目標だった。 悪戦苦闘の末、音響系組み立て(振動膜と背極の組み立てと接着工程)ロボットなど7台の自動製造ロボットが完成したのは、プロジェクトのスタートからおよそ5年後の2002年であった。 自動化以前は、補聴器用マイクロホンの部品の組み込み作業は人の手で行われていた。「当時は、人の手で組めるような構造になっていました。自動製造ロボットを製作するにあたって、自動化で作業をしやすいマイクロホンの設計を行いました」と2002年までのプロジェクトにおいて製品設計を担当していた樹所(現在は技術開発センター)はいう。振動膜組み立て・背極組み立て接着製品検査レーザーマーキング測定音口シール音口溶接音口・メッシュ接着全周シールリードはんだ付け端子板接着・シール中板・カバー溶接ケース・中板溶接IC・中板接着・溶接ケース組み込み・接着8■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■マイクロホン組み立てフロー■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■マイクロホンの製造を自動で行うロボット 大きく分けてマイクロホン、増幅器、イヤホン、電池の4つの部分から構成される補聴器。製造技術部 生産技術課に所属する菅原と秋和は、補聴器用マイクロホンの自動製造ロボットの運用や設計・製作に携わっている。 マイクロホンは、心臓部ともいえる振動膜や背極をはじめ、いくつもの部品で構成されている。自動製造ロボットは、マイクロホンのケースの中に部品を置いて接着したり、シールで密封したりといったことを自動で行うものだ。 ロボットは基本的に、作業前後の部品を置くパレット用のスペースと作業スペース、そして部品をピックアップして移動させるアクチュエーターからなる。 アクチュエーターは、XYZの三軸直交ロボットだ。クレーンゲームと同じように動いてパレットから部品をピックアップして作業スペースへ運び、そこで接着や組み込みなど必要な作業を行った後で、別のパレットに置いていく。この一連の作業を行うロボットが、マイクロホン製造スペースに設置されている。
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