RTJ_vol9
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自動製造ロボットの今後 菅原と秋和は、必要に応じて新たな自動製造ロボットの開発も行うが、現在の主な仕事はロボットの運用だ。菅原は自動製造ロボットの機構面を担当し、秋和はそれを動かすための制御面を担当している。 2002年以降に新たに製作されたものもあり、補聴器用マイクロホンの自動製造ロボットは現在、15~16台が稼働している。「2002年までに作られたロボットの中には、今でも現役で動いているものがあります。当時の担当者はほぼいないので、ちょっとした改造を頼まれた場合など、細かい設計思想が聞けずに困ることはあります」と秋和は語る。「長く使ってきたロボットで急に何らかの不具合が発生しても、生産ラインは止められません。何とか対応するのが難しいところですね」と菅原は続けた。 補聴器用マイクロホンの自動製造ロボットの今後について、秋和と菅原は次のように語る。「AIを取り入れてテストしながら、よりよいソフトウェアを作っていきたいと考えています。たとえば接着剤の量など、現状では熟練の作業者でなければ判断できない部分などを、AIで学習させて判断できるようになればと思っています」と秋和。 機構面ではどうか。「将来的には、人間の腕のように動作可能な垂直多関節ロボットを活用し、今よりも自由度の高い設計をしていきたいと思います」と菅原はいう。「新しい技術を使い、より良いものを作っていくことが生産技術課の使命だと思います。新しいものにチャレンジしていき、私たちの後輩に伝えていくことも大事ではないでしょうか」補聴器用マイクロホンの部品部品のサイズはミリメートル単位だ。そのためロボットで行う作業には、ミクロン単位の精密さが必要となる。そのような精密な作業を人の手で行うと、どうしても人による差が出てしまう。ロボットで行うことで均質化が可能となった。補聴器用マイクロホンの構造の概略音を電気信号に変換する振動膜と背極のほか、ICや端子板などからなる。下は、コンパクトなタイプの比較的新しいマイクロホン。菅原 繁樹医療機器事業部 製造技術部 生産技術課。2007年入社。射出成形・プレス金型の設計・加工・組み立てに従事した。現在は、マイクロホンの測定、組み立てを行う自動製造ロボットや治具の機構設計、製作に携わっている。秋和 啓史医療機器事業部 製造技術部 生産技術課。2010年入社。医療機器事業部製造技術部生産技術課に配属されたのち、2014年にマイクロホン生産ラインの部署へ異動。2017年から再び生産技術課に。現在は自動製造ロボットの電気設計に携わっている。76881625354123491 2 3 4 ケース振動膜背板端子板5 6 7 8 ICカバー中板音口 樹所 賢一技術開発センター 製品・技術開発室。1991年入社。技術統括部生産技術部に配属され、トランスデューサ生産自動製造ロボットの機構設計に従事。1994年に研究開発部へ異動し、その後トランスデューサの開発に従事した。現在は製品・技術開発室にて医療機器、環境機器の製品開発に携わっている。EU-67EU-81

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