RTJ_vol9
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第二回: 計量では、得られた数値の精度や品質の高さが大切で、計量器の性能や計量方法が国際的にも定められています。これらに基づき、計量器の正しい取り扱いと適正な計量を実施しなくてはなりません。私が取得したのは「環境計量士(騒音・振動)」で、例えば航空機や道路交通、新幹線や風力発電施設などの様々な騒音・振動の計量が対象となり、騒音・振動規制法や環境基準などで測定方法や規制値・目標値が定められています。 これらに対する環境計量士の役割は、計量器の自主的な管理と適切な計量を実施し、その結果に責任を持つことです。騒音・振動についての計量証明事業を行う環境コンサルティング会社などの事業所を開く際にも、環境計量士の資格を持った従業員が必要となります。私のような計測器メーカーで働く者にとっても、製品をご使用いただくお客様を理解する上で、必要度の高い資格と言えます。19を持つことができました。また、資格取得した年は、まさに取引・証明に使用される「特定計量器」の一つである振動レベル計の開発を担当していたので、どのような測定が行われ、どのような評価が行われるかを理解する上でも有用でした。 現在は、開発した製品の使い方の講習や、それを活用したシステムの提案などを自ら行うこともあります。内容ができるだけ一般論にならないよう、計測器を使用するお客様の立場で困りごとの本質を理解し、具体的に伝えられるよう努めています。狙ったものを正しく測定するということは難しく、労力も掛かるものなので、そのような現場観点への工夫もお伝えできればと思っています。風間 亮介技術開発センター 製品・技術開発室 音響振動計測器開発グループ。2011年入社。信号処理ソフトウェアの開発からスタートし、振動レベル計、振動計の開発を経て、現在は騒音計の開発に携わる。【環境計量士とは】計量器の自主的管理を推進し、適正な計量の実施を確保することを目的とした国家資格。環境計量士には「濃度関係」と「騒音・振動関係」の2種類あり、今回紹介する環境計量士(騒音・振動)は、プレスや送風機などの大きな音・振動を発する施設がある工場、建設工事現場、自動車、鉄道、航空機などに係る騒音・振動の計量管理を行う。有資格者は全国に約3,600人(令和5年2月時点)存在する。 毎年12月に行われる計量士国家試験(専門2科目、共通2科目)に合格した後、5日間の環境計量講習を受け、登録申請することで資格取得に至るのですが、この筆記試験もなかなか難しいという印象で、2023年度は合格率19.8%という狭き門になっています。私がまだ、何の武器も持っていなかった新人時代、先輩に「勉強になるから受けてみれば?」と提案されたことをきっかけに受験したのですが、3回受験し、3度目の正直で合格することができました。出題される内容は、「物理」、「音響振動」、「法規」、「管理」など幅広く、毎日の通勤時間と土日に勉強していました。 私が携わる計測器の開発は、この資格が必須とされる業務ではありませんが、当初の目的でもあったように、勉強したことが業務への理解を深めるために役立つことがよくあります。計測器の仕様や構造はもちろん、測定方法や結果の不確かさの捉え方など幅広いリテラシー取材・文/高橋 美由紀騒音•振動の計量を管理する、社会に不可欠な資格リオンの社員が有する多様な資格を紹介していく連載 企画の二回目。今回は、環境計量士の資格にフォーカス。これはどのような性質の資格なのか、環境計量士の資格を持つ社員が解説します。環境計量士With The License Of…資格と仕事

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