RION-JPN-vol10
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13「リアルタイム音源探査システム」はどんな製品?菊地 誰にでも分かりやすく「音を見える化」して音源を探す画期的な製品なんです。パソコンの画面に音が映し出される?菊地 そうです。製品の真ん中にカメラが付いていて、その周りに多数のマイクロホンが設置されているんですが、映像と音を同時に収録していて、どこから音が発生しているかが一目瞭然。複数の音源があっても、周波数範囲を上手く設定することで音源を絞り込むことができ、とても分かりやすいんです。どんな場所で使われている?菊地 多いのは製造業。電化製品や自動車など、静かさを求められる製品の開発現場で使われています。例えば開発中の冷蔵庫から出る音を小さくしたい時、冷蔵庫の裏側を測定すると、コンプレッサやファンなど、どこからどのくらいの音が出ているのかすぐに分かるんです。大きい音が出ている部分を見極めることで効率よく音対策に取り組めるわけです。増見 騒音計でも、製品に近づけて動かしながら測定すれば、測れないことはないんですけど、怪しい箇所を探りながら測定すると、やはり手間がかかります。菊地 誰でも一目で分かる機能がお客様に重宝されているんですよ。例えば、ある製品の音が大きいとクレームになった場合に、画面を見せることで音の発生源がどこかを伝えやすいですし、対策後に改善されたことも伝えやすい。ですから、対象物が大きくても測定できる?菊地 センサで捉えられる200メートル以内の音でしたら、離れた場所にある大きいものも測定可能です。例えば、高速道路の騒音が問題になった場合、離れた場所から高速道路とその周辺を測定して、騒音がどこから出ているのかを判別したり、工場の騒音対策を考える時、離れたところからプラント全体を測定して、どの建屋が最も大きな音を出しているのか判別することもできると思います。製造業の品質保証部門で使っていただくこともあります。増見 現場でも、測定結果にお客様が「おぉ~!!」とどよめかれたりすることがありました。菊地 すぐに使えるというのもメリットです。初期設定は必要ですけど、2回目からはパソコンを開いてソフトを立ち上げれば、ものの5分で使えますから。増見 逆に小さいものを測定することもあります。あと、変わったところでは、部屋の窓から音漏れしている箇所を見つけて欲しいというオファーもありましたね。菊地 不思議音の研究にも使われました。家の中にいると、何の音だか分からないけれどパキッとかメキッとか不思議な音が鳴ったりするじゃないですか。あの音の測定です。二人の業務内容は?菊地 製品の購入を検討していただいているお客様のもとに出向いて、デモンストレーションを行っているのが、増見の所属する営業技術課です。増見 逆に、買うほどではないけれど、測定してみたいものがあるお客様には、菊地ら音響振動技術サポートチームが対応して測定業務を行っています。菊地 私の部署の一番の目的は、我々の活動を通してリオンや製品のファンになっていただくことなんです。「リアルタイム音源探査システム」の今後の可能性は?菊地 防犯や人の命を守るような用途でも使ってもらえたらいいですよね。あと、これは実際の話で、器械体操の研究をしている大学の先生に使っていただいたこともあるんです。増見 上級者の踏切音とパフォーマンスの関係性を調べていらっしゃったんですよね。菊地 そうそう。いろいろな人にこの製品のことを知ってもらい、想像もつかないような驚きの使い方をしてもらいたいですね。そのくらい面白い製品なんです。ボンネットを開け、車のエンジンルームを測定したソフトウェアの機能で出力した画像。エンジンのどの部分から音が発生しているのかが一目瞭然。Acoustic Camera Multitile中心部にカメラを設置した六角形のマイクロホンアレイを3つ組み合わせた「Multitile」は220 Hz~20 kHzの周波数に対応。他に、410 Hz~20 kHzに対応する「Hextile」と120 Hz~1 kHzに対応する「Multitile-LF(低周波解析)」がラインアップされている。ソフトウェアで表示される画面。音源箇所の表示だけでなく、周波数分析結果やカラーマップをリアルタイムで表示。ソフトウェアで表示されるグラフの1つ「FFT分析」。一定の周波数間隔で音の大きさを表している。

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