ホームタウン！meets18 「公文書」とは、政府や官庁、地方自治体で作られた文書や図面のこと。なぜこれらを保管し閲覧できるようにしているのかといえば、公文書は私たちが自分の住む地域の行政を検証し、関わっていくためにとても重要な資料だからだ。東京都は都民の生活を守り、そのための政策には税金が使われている。どのような経緯で政策決定され、何にお金が使われたかを、都民が知りたいときに、提供できるようにしておく必要があるのだ。 とはいえ、日常的に公文書を必要とする人は少ない。「ここを訪れる人は、東京都の歴史を調べている人や、行政について研究している人がほとんどです。他には、裁判資料を探しにくる人や、面白い史料をメディアで使いたいという人もいらっしゃいます」と職員の中野慶一さんは言う。 確かに、公文書のほとんどは難解で、内容を読み解くための専門知識をもった人に利用が集中するのも納得だ。取材中、リオンにまつわる資料をいくつか見せてもらったが、どれも一見しただけでは何がどうリオンと関係しているのかよくわからない。 ところが、史料編さんを担う西木浩一さんの説明を聞くと印象は一変。「これは国分寺が『町』から『市』になったときの資料です。市になるには、人口が何人以上、文化施設が何件以上あるなど、一定の条件をクリアしないといけません。文化施設の一覧の中に『リオン 総合グラウンド』という記述がありますが、この資料から国分寺が市として認定されるためにリオンがひと役買っていることがわかります」読み解く目をもった人から解説を聞くと、途端にその資料から受け取れる情報が増えるし、どんどん興味が湧いてくるから不思議だ。 公文書館では、所蔵資料や館の事業についてより多くの人に知ってもらうために、展示や講演会を行っている。常設展示では、所蔵する公文書や歴史資料に紐づけた、江戸・東京の歴史がビジュアルにわかりやすくまとめられ、公文書利用の有無に関わらず、誰でも見学が可能だ。わかりやすく解説された資料を入り口として、公文書に親しむことができる。また、一部の資料はウェブ上のデジタルアーカイブでも公開されている。 2020年、国分寺に移転してきた東京都公文書館。土壌や地盤の状態が良いことがこの地を選んだ理由のようだ。東京都公文書館はこれから未来永劫、ここ国分寺で大切な資料を後世へと残し、私たちの歴史や行政への理解を支え続けていくのだろう。“永久保存”。それは温度や湿度の管理を徹底するとともにカビや害虫への対策、資料の素材に合わせた適切な対応などがされることで可能になります。貴重な資料を後世につなぐという強い意志と思いが受け継がれ、管理に携わる方がいるからこそ、私たちは貴重な現物に触れることができ、先人の知恵や経験を追体験できると感じました。資料からは当時の風習や文化、時代の変遷を垣間見たり、当たり前と思っていたことも、戦後に生まれた制度や価値観であることに気づいたりと新たな発見のきっかけとなりました。（リオンテクニカルジャーナルスタッフ 岡部 雄紀）OUR FAVORITE TOWN, KOKUBUNJI リオンのスタッフがナビゲート 東京都公文書館公文書館とは、歴史的資料として重要な価値があると判断された公文書などを、国民共通の財産として後の世代に伝えるために保存し、利用者に提供する施設。東京都公文書館は、都の歴史公文書や庁内刊行物などを収集・保存し、これらの効率的な利用を図ることのほか、都に関する歴史の編さん事業、公文書館や資料をさらに活用してもらうための普及事業を行っている。リオンにまつわる所蔵史料国分寺の文化施設の一つとして「リオン総合グラウンド」が掲載されている。（左）第１種 第二課文書類別・地理・官有地ニ関スル書類・４ 小金井村、国分寺村、西府村、谷保村、立川村鉄道敷地下付願 甲武鉄道会社（上）江戸名所図会 9江戸時代の武蔵国分寺の様子。リオン本社周辺も描かれている。東京都公文書館スタッフの皆さま左から、中野慶一さん（庶務担当）、大塚敦さん（整理閲覧担当）、荒井宏親さん（館長）、西木浩一さん（史料編さん担当）、髙木謙一さん（史料編さん担当）。一点ものである公文書は、図書館の資料などとは管理方法が異なる。そのため、「アーキビスト」と呼ばれる専門職員が公文書の収集、分類、保管を行っている。歴史以外にも行政や法律などへの理解が必要。コーディネーター/棚橋 早苗取材後記リオンのスタッフが、国分寺の旬な人や場所を訪れ、魅力を再発見するコーナー。2020年4月に国分寺に現れたスタイリッシュな黒い建物、東京都公文書館。リオンのご近所であるため、「どんな施設なの？」「そもそも自分は利用できるの？」と気になっている社員が続出。ついに訪問を果たし、施設の役割や意義について話を聞いた。今回のテーマ都民の財産を残す場所知りたいときに知ることができるように、大事な資料を永久保存。リオン国分寺
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