~独自の深紫外線照射法により、測定精度を高め実用性を向上~
「生物粒子計数器」の今後の事業展開について
2018年11月09日
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リオンは、気中微粒子計、液中微粒子計の基礎技術をもとに、2011年11月、水中の微粒子について、生物粒子と非生物粒子とを見分け、細菌などの生物粒子をリアルタイムに測定する「生物粒子計数器」を世界で初めて開発し、市場開拓を進めてきました。
この「生物粒子計数器」の測定メカニズムは、生物細胞中に存在する特定の波長の光を当てると蛍光を発する「自家蛍光物質」に対して、UVレーザから発する特定の波長の光を微粒子に照射し、散乱光検出器により微粒子の有無や大きさを検出すると同時に、蛍光検出器により、その微粒子が生物粒子、非生物粒子かを瞬時に見分けます。
当社では、市場開拓を進めるとともに、測定精度のさらなる向上を図るため、微弱な細菌の自家蛍光を大幅に増強する深紫外線照射法を導入し、実用性を大幅に高めた機器を市場に投入しています。
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基本構造(模式図) -
検出原理(サンプル内の微粒子の散乱光信号と蛍光信号の様子)
今後の事業展開について
製薬業界、飲料業界、人工透析業界での受注拡大に加え、電子デバイス製造業界、医療機器業界、食品製造業界など、使用する水の高度でリアルタイムのスクリーニングが必要となる現場での開拓を図り、5年後に生物粒子計数器を含むライフサイエンスの分野において、5億円の売上高を見込んでいます。
「生物粒子計数器」の有用性について
食品、飲料水、医療用水など水を扱う現場において、細菌などの混入確認は、最重要工程と位置付けられており、衛生管理や清浄度管理は非常に重要となっています。そのため現状では、「培養法※1」などの測定方法が広く用いられていますが、細菌※2の存在確認に3日から5日程度の時間を必要としています。そのため、万一細菌などが確認されたとしてもタイムラグにより対応が後手に回るため、細菌などの生物粒子の有無を瞬時に確認する方法が求められていました。
「生物粒子計数器」は、管理すべき水を通過させるだけで、細菌、カビ、酵母などの存在を瞬時に確認でき、24時間・リアルタイムで監視することが可能となります。測定現場において、「生物粒子計数器」により微生物汚染リスクの上昇を認めた時のみ、培養法などの詳細分析を行うことが可能となり、手間・コストの大幅な削減につながります。
※1 現行の測定法は、主に「培養法」が広く用いられています。寒天等、無菌の培地に試料を滴下または付着させ、菌の増殖により形成されるコロニーを確認する方法です。細菌の存在の確認に通常3日から5日程度の培養期間を要し、試料の量は水数滴程度と限られています。そのほか、蛍光染料法、マイクロコロニー法などがあります。
※2 真正細菌:いわゆる細菌・バクテリアのことで、大腸菌、枯草菌などを含む生物群です。形状は球菌か桿菌、ラセン菌が一般的で、通常1~10μmほどの微小な生物です。
実用性を大幅に高めた最新型の「生物粒子計数器」について
- 微生物検出感度の向上(細菌の自家蛍光の増強)
- 偽陽性粒子分別性能の向上
- 試料溶媒由来の測定阻害リスク低減
- 装置内の微生物汚染リスクの低減
「生物粒子計数器」は、細菌が持つフラビン酵素(代謝活性物質)の自家蛍光を検出対象としています。
測定対象となる水にあらかじめ深紫外線(300nmよりも短波長な紫外線)を照射し、細菌に深紫外線が持つ光エネルギーを伝達します。それによって、微生物の中で様々な酸化還元状態で存在しているフラビン酵素(代謝活性物質)を自家蛍光強度が強い酸化型に変化させます。当社独自の深紫外線照射法(特許出願中)により、微弱な細菌の自家蛍光を大幅に増強し、微生物検出感度の向上を実現しています。
■実用性の向上
■深紫外線照射法のメカニズム ※酸化とは、対象物質が水素を奪われる化学反応
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