補聴器は、利用者にとって会話によるコミュニケーションを支えるかけがえのない手段です。しかし以前は、生活の中で補聴器が使えない場面が少なからずありました。入浴やシャワー、洗顔、激しいスポーツなど、水や汗に濡れる場合です。補聴器は小さな空間に数多くの部品が高密度に配置された精密電子機器のため、ごくわずかな水滴でも、毛細管現象で機器内部に広がり、電子回路の故障の原因になったのです。
1980年代、世界ではじめてこの問題の解決に挑んだのがリオンです。補聴器による会話コミュニケーションを途切らせないために、補聴器の防水化に全力を挙げたのです。
補聴器の防水化にあたっては、以下のような課題を克服しなければなりませんでした。
1.音響性能を損なわずに、防水化すること
防水構造の基本は、一定の水圧に耐える密閉構造ですが、これによって、補聴器の性能が損なわれては意味がありません。密閉構造をとりながら、マイクで拾う音の大きさを下げないしくみが求められました。
2.操作性を損なわずに、防水化すること
防水化によって、スイッチやボリューム、電池交換などの操作性に影響がないことが前提でした。
3.小型化を損なわずに、防水化すること
小型化は、防水化とともに重要なテーマです。防水化によって、補聴器のサイズが大きくなることも避けなければなりませんでした。
1986年、リオンは入浴、シャワー、洗顔、水洗いなど、日常生活のさまざまな場面でも、安心して使用できる防水型補聴器の開発に世界ではじめて成功しました。例えば、水泳の授業でも、補聴器を付けたままプールに入れるようになり、難聴の方の活動の幅が飛躍的に広がりました。
これ以降、リオネットは、防水型補聴器の先駆けとして世界に広く知られるようになったのです。
防水耳かけ型補聴器 HB-35PT