聴能設備機器

教室のような小規模システムからグラウンド、体育館、ホールや劇場、交通機関などで利用できる補聴援助システムをご紹介します。

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シングルループとフラットループ、定電流アンプ

磁波は、電波と同じ“電磁波”という信号波です。磁波は音声周波数と同じ周波数成分の電磁波(およそ100〜8000Hz程度)で、搬送波を持ちません。電波に比べれば到達距離は圧倒的に短いものです。また、磁波はその発生源である電線からの距離に反比例して弱くなっていきます。しかし補聴器はその弱い電磁波を増幅する強力な増幅器ですので、そのような微弱な信号でも大きな音にする性質があります。
つまり、磁気ループを使用するときは、たとえそのループの外に出て磁波が徐々に弱くなり、快適な聴取ができない状態になりつつも補聴器はなお信号を拾ってしまう性質がある、と言えます。それは磁気ループ/補聴器の利用者にとっては、結果として邪魔な雑音となってしまうことを意味します。特にそれは磁気ループを設置してある個所が複数あり、それが近接している(例えば上下階で重なっていたり、数メートル以内の隣室であったり)場合、聴きたい音の他に邪魔な音が入り込んでくる状態であれば対策をしなければ快適に利用することができません。そういった“混信”を防ぐ、あるいは影響を減らす方法として当社の独自技術である“フラットループ”が考えられます。

フラットループとは、位相をずらした2系統の回路を一定の間隔に配置し、ループ直上の感度の谷(ディップ)を失くし、同時に逆相磁波による相殺を行うことで上下や隣接への漏れ磁波を抑えようとする技術です。
2系統の回路が必要なため機器自体がやや高価になり、工事で複雑な配線を行う必要があるため、その意味でもコスト的に不利な点がありますが一度工事で設置してしまえば、ループの寿命は建物と同等ですので、長くお使いいただくことが可能となります。
“混信”の心配がない、あるいはそれほど大きな面積では使わない、ということであればシングル式ループでも十分です。
特に必要な時だけ設置する仮設式などでは、そのメリットを発揮できると考えられます。

当社では区別のためにシングルループと呼んでおりますが、その設置推奨幅は概ね3〜5m程度と考えています。それ以上に幅を広げますと聞こえやすいところと聞こえにくいところ、つまり磁波ムラが出る可能性が高いということ、ループ線直上では補聴器感度が極端に下るポイントができること、ループも電気的には“コイル”ですからリアクタンス(電気回路の交流に対する抵抗値のこと)が設置状況によって変化し、補聴設備の命である音質の性能を一定に保つことが難しくなることがあります。特に周波数特性はループの設置状況によって変化しますので、一般的なオーディオアンプを利用し、かつ仮設式である場合には、「100〜8000Hzで常に±3dB以内」を実現することは難しくなります。しかし、この問題は 「定電流アンプ」によって解決することができます。